Result 研究の結果
選択的回答並びに記述式質問項目による自記式質問紙調査
1.“夫婦ペアレンティング調整尺度”を用いて、夫婦ペアレンティング調整の状況を明らかにするとともに、それらに関連している要因を探索した。
【研究1-1】報告書2.夫婦の子育ての話し合いの状況、夫婦が相手から子育てを批判された時の気持ちや、批判の背景にある事柄の受け止めを明らかにした。
【研究1-2】報告書3.母親の夫婦ペアレンティングである促進と批判を母親が行動に移す影響要因を探索した。
家庭訪問による個別インタビュー調査
夫婦ペアレンティングへの思いを聞き取り、妻の促進行動や批判行動の背景にある思いやその思いに関係していると考えられる夫婦関係の自覚を明らかにした。また、新たな夫婦ペアレンティング尺度の内容につなげた。
【研究2】報告書夫婦ペアレンティング尺度の開発
夫婦が協力して子育てすることが夫婦関係や子どもの成長への有効性が明らかとなる夫婦ペアレンティング尺度を検討している。
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調査に用いた尺度
1.育児幸福感短縮版尺度
母親が子育て中に感じる肯定的な気持ち
“子育ての喜び”5項目、“子どもとの絆”4項目、“夫への感謝”4項目の3因子からなる13項目の短縮版尺度を用いた。各項目は“1.あてはまらない から 5.あてはまる”の5件法 この尺度により、育児幸福感の程度を知ることができ、特点が高いほど育児幸福感を感じていると解釈される。なお、父親に“夫への感謝”を質問する際は、妻に感謝されていると感じるか感じないかを質問している。
2.育児ストレス短縮版尺度
“心身的疲労”6項目、“子育て不安”6項目、“夫の支援のなさ”4項目の3因子からなる16項目短縮版尺度を用いた。各項目は“1.あてはまらない から 5.あてはまる”の5件法 この尺度により、育児ストレスの程度を知ることができ、得点が高いほど育児ストレスを感じていると解釈される。なお、父親に“夫の支援のなさ”を質問する際は、本人の子育て支援の認識について質問している。
3.夫婦ペアレンティング調整尺度
父親の子育て関与に対する母親の調整行動として開発された尺度となる。
母親が父親の養育行動を支持、尊重、激励、感謝するような促進行動と父親へ拒否、避難、批判をする批判行動である。
2下位尺度の項目は、“1.まったくない から 6.いつもある ” の6件法で回答を求めた。高得点であるほど、母親から父親の子育て関与への促進あるいは批判が高いことを示す。なお父親の質問項目では父親が認識している母親の促進行動、批判行動について回答する内容となっている。
4.自己志向的完全主義尺度
Firostらが開発した完全主義尺度を参考に桜井、大谷により作成されたもので完全主義を多元的にとらえるものとなる。4つの下位項目、“完全でありたいという欲求”5項目、“自分に高い目標を課する傾向”5項目、“ミスを過度に気にする傾向”5項目、“自分の行動に漠然とした疑いをもつ傾向”5項目計20項目で構成される。“1.全く当てはまらない から 6.非常に当てはまる” の6件法で回答を求めた。
5.結婚の“現実”尺度
結婚生活の認識をとらえる結婚の“現実”尺度を用いた。夫と妻との間で一致しているかについて検討する。
3下位尺度項目は、“相思相愛”は夫婦がともに相手を愛し尊敬していることを示す。“夫への理解・支持”は妻が夫の個人としての在り方生き方を理解・尊重、支持することを示す。“妻への理解・支持”は夫が妻の個人としての在り方生き方を理解・尊重、支持することを示す。各4項目の12項目で構成される。
6.親発達意識尺度
親発達意識をとらえるものになる。加藤らによる、育児期にある親(父母)を対象とした親になったことによる変化と子どもの成長に伴って感じられる寂症感・後悔の教示から得られた質問項目29項目による“関係性意識”、“人格意識”、“リソースの制約感”による3下位項目により構成される。
解析方法
回収した無記名の調査用紙をデータベース(Excelシート)に入力した。統計、比較、関連項目の把握は統計解析ソフトウェアIBM SPSS Ver.25 を使用した。